聖バレンタインの遺骨はマドリードに(も)あります

2月14日は、バレンタインデー。

バレンタインデーの歴史雑学です。

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バレンタインはカトリックの聖人

聖バレンタイン(San Valentín)は、3世紀に現在のローマから100㎞程のところにあるテル二で生まれ、テル二の初代司教でした。

当時のローマ皇帝クラウディオ2世は、家庭を持つと、兵士の士気が落ちるという理由から、ローマの兵隊たちが結婚することを許可しませんでした。バレンタインは、皇帝の命令に反して、こっそりと結婚式を行い続けていました。

ローマ兵の結婚でも特に禁止されていたのは、カトリック教徒との婚姻でした。
バレンタインは、ローマ兵サビーノとカトリックの娘セラピアの結婚式も行いまいた。

その話を聞いた皇帝は、バレンタインをローマへ呼び出しました。
バレンタインは、ぜひとも皇帝にもカトリックの教えを伝えたいとローマに向かい、皇帝も一時はバレンタインの話に聞き入っていましたが、最終的には投獄され処刑されることになりました。

投獄されるにあたり、ローマの総督は、カトリックの教えを罵倒し、生まれつき盲目の自分の娘の目を治せと無理難題を押し付けました。

バレンタインは、神に祈り奇跡を起こし、娘は目が見えるようになり、総督一家は、みなカトリック信者となりました。

また投獄中、牢屋の監視係が、娘に読み書きを教えて欲しいと頼み、その間バレンタインは、娘に恋をしました。
処刑の前夜、バレンタインは娘に、別れと、思いを伝える手紙を残し、その最後に ”あなたのバレンタインより”と記しました。

そんなわけで、命がけで、こっそりと結婚式を行う司教でもあり、奇跡も起こし、本人もロマンチックな手紙を残して殉教した聖人が聖バレンタインです。(処刑は273年2月14日)

バレンタインが聖人になって2月14日が祭日になったのは

バレンタインが、カトリックの聖人になって、2月14日を祭日として祀るようになったのは、494年ゲラシウス1世法王の時からです。(1967年、カトリックの祭日のカレンダーからは消去され、聖人の日ではありますが、お祭りはありません)

ローマでは少しずつローマ住人をカトリック化していくために、それまで行われていた、異教徒たちの様々なお祭りを、カトリックの聖人の日とそのお祭りへと移行させていきました。

その頃まで、ローマでは毎年2月15日は、【ルぺルカリア祭】というお祭りがあり、これは、もともとは異教徒たちのお祭りで、ローマ神話のユーノー(結婚、出産、家庭、豊穣の女神)を祀ったもので、くじ引きのようなシステムで1年間一緒にいるカップルが決まってしまうというもの。

カトリック教会では、この習慣は道徳上よろしくないという事で、お祭りを禁止しました。

そこに偶然にも(?)3世紀の、命を懸けて結婚式を行って殉教したバレンタインの伝説があり、バレンタインを恋人たちの守護聖人として、2月14日を祝い、男女を結び付けるお祭り【ルぺルカリア祭】の代わりにしたようです。

聖バレンタインのお墓は

聖バレンタインは殉教後、彼を慕う弟子たちの手によって、故郷のテル二に埋葬され、その後そこにはサン・バレンタイン寺院が建てられ、聖人の遺骨が埋葬されています。

テル二 聖バレンタイン寺院 聖人お墓

17世紀、法王パウロ5世の頃、聖人のお墓が開けられ、その後その遺骨は色んな国に分散しています。
テル二のお墓以外は、

●ローマ(イタリア)Santa Maria in Cosmedin教会(映画ローマの休日で有名な、≪真実の口≫のある教会)
●マドリード(スペイン)San Antón教会
●ダブリン(アイルランド)Carmelitas Whitefriar教会
●プラハ(チェコ)San Pedro y San pablo教会
●ヘウムノ(ポーランド)Asunción de Santa Maria de Chelmno
●ウィーン(オーストリア)San Esteban大聖堂
●そのほか、レスボス島(ギリシャ)、ロックモール(フランス)、グラスゴー(スコットランド)、バーミンガム(イングランド)、スペインの他の街でも・・・。

Santa Maria in Cosmedin Goldmund100, CC BY 3.0 via Wikimedia Commons

特に16世紀以降、聖人の遺骨や、遺品などの ≪聖遺物≫ は、各地からの需要があり、聖バレンタインの聖遺物もかなり広範囲に分散しています。

≪参照≫聖遺物って何でしょう?

マドリード サン・アントン教会

スペインにある聖バレンタインの聖遺物は、18世紀の終わりに、当時のローマ法王から、スペイン国王カルロス4世に贈られたものです。

一般公開をはじめたのは、1984年からで、頭蓋骨と、大腿骨(2本)と、いくつかの骨があります。
実は、ローマの教会にも頭蓋骨があり、一体どれが本物なのかは、よくわかりません。

2月14日は、サン・アントン教会には、信者の方々や、その年に結婚予定の方々、また結婚後何十年もたったベテラン夫婦も、教会に集まって、愛と健康などを祈ります。

また、教会では青いリボンを配っていて、2人の名前を書いて聖人の聖遺物が置かれている場所の柵に、リボンを結ぶという、新しい習慣が数年前からはじまっています。

以前はサン・アントン教会のサン・アントン(動物たちの守護聖人)の前後だけ一般公開していましたが、2015年以降は、基本的には、いつでも一般公開しています。(2021年2月現在は、不定期?)

≪参照≫動物たちの守護聖人  ≪聖アントンの日≫

商業化されたバレンタインデー

現在のように贈り物をするような商業化されたバレンタインでーは、1840年ごろアメリカから流行りだしました。

スペインでは、1943年、2月3日の当時存在していた ”ガレリア プレシアードス マドリード” が初めて、バレンタインデーをアピールした広告を出して、アメリカと同じように、花や、プレゼント、お菓子などを贈る習慣が広がっていきました。

まとめ

スペインのバレンタインデーは、日本のように女性がチョコレートを贈る日、告白する日という感じではなく、すでにカップル、夫婦が、お互いにちょっとした贈り物をしたり、しなかったり、そんなに盛り上がっているような感じはありません。

ただ、街の中はバレンタイン商戦で、ショーウインドーには、毎年ハートが飛んでいます。

プレゼントで人気なのは、香水、花などのようです。

バレンタイン特別ディナーなども、例年だとありますが、今年は家でのんびりするしかないようです。