マドリードの伝統的なお祭り【サン・イシドロ祭】ってどんなお祭り?

スペイン人はお祭り好き。

スペイン各地でさまざまなお祭りがあり有名ですが、マドリードはサン・イシドロのお祭り

ちょっと早めの初夏を告げる庶民のお祭りです。

Diario de Madrid, CC BY 4.0
Wikimedia Commons
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【サン・イシドロ】はマドリードの守護聖人

サン・イシドロは、マドリードの街を護る、守護聖人です。

祈るイシドロと代わりに働く天使と牛
Wolfgang Sauber, CC BY-SA 3.0 Wikimedia Commons

【サン・イシドロ】サン・イシドロは、労働者、農民の、そしてマドリードの守護聖人です。
11世紀の後半マドリードの貧しい家で生まれ育った敬虔な信者で、井戸を掘ったり、畑仕事をする中で数々の奇跡を起こし、1622年に法王グレゴリオ15世の時代に聖人になりました。
彼の起こした奇跡はなんと400以上あるそうですが、中でも有名なのが、

★サン・イシドロの奥さんはマリア(彼女も後に聖人サンタ・マリア・デ・ラ・カベサになります)、2人の間にはイジャンと言う息子がいました。ある日息子のイジャンが井戸に落ちてしまい溺れそうになった時、マリアはイシドロにそのことを告げ、イシドロが子供を助けてくれるよう神に祈ると、井戸の水が溢れだし水面が上昇し子供を井戸から助けることが出来ました。

★仕事中に祈りを捧げている(=仕事をサボっている)との話をきいた畑の地主がこっそり様子を見に行くと、イシドロが祈りを捧げている間、天使と2頭の牛が彼の代わりに畑仕事をしていました。

★ある年干害で畑が枯れて困っていた時、イシドロが祈りを捧げて地面を叩くと、水が溢れだしました。

★貧しい人を家に連れて行っては食事を分け与えていたイシドロとマリア、ある日鍋は空っぽで何もない状態でしたが、イシドロが祈ると、また鍋の中に食べ物が現れ、皆に食事をふるまう事が出来ました。

★イシドロの遺体はサン・アンドレス教会に埋葬され、そののち墓を開けてみたら、腐乱することもなくそのままの姿で発見されました。

などなど・・・

18世紀にイシドロとマリアの遺体は、サン・イシドロ教会に移され、現在もそこに埋葬されています。サン・イシドロ教会は、20世紀にマドリードのアルムデナ大聖堂ができるまでは、マドリードの暫定の大聖堂だった教会です。

また、かつて埋葬されていたサン・アンドレス教会のすぐ近くには、イシドロ親子が住んでいたらしいという伝説の場所にのちに建てられた建物があり、現在はサン・イシドロとマドリード歴史博物館(入場無料)になっていて、館内中庭には、子供が落ちて助かったというこれまた伝説の井戸もあります。

サン・イシドロのお祭り

街の守護聖人サン・イシドロの日は5月15日、お祭りは、その前後に行われます。

Tomada por w:es:Usuario:Barcex, CC BY-SA 3.0
via Wikimedia Commons

≪Pradera de San Isidro≫

街のあちこちでお祭りは行われますが、一番伝統的で、有名なのはPradera de San Isidro(サン・イシドロ公園)と言われるかつては牧草地だった所で、ここが伝説ではサン・イシドロが畑仕事をしていた場所だったとか。

芝生に直接腰をおろして、ピクニックを楽しんだり、伝統的なお菓子を食べたり・・・。

サン・イシドロ公園 Barcex, CC BY-SA 3.0
Wikimedia Commons

この場所では古くから街の人が集まってお祭りを楽しんでいたのですが、18世紀のその様子を画家ゴヤも描いています。

周辺の建物は増えましたが、川向こうの街並みのシルエットは18世紀の頃からほとんど変わっていません。

Pradera de San Isidro(1788年) フランシスコ・デ・ゴヤ プラド美術館

Romeria de San Isidro(1788年)ゴヤ プラド美術館

上の絵は同じくゴヤが描いた作品で、サン・イシドロ礼拝堂への信者の巡礼のシーンです。


(全く余談ですが、これと同じテーマの絵を約30年後、黒い絵シリーズの1枚として書いています。
同じ画家が描いた絵とは思えないで、面白い対比です。)

Romeria de San Isidro (1819年頃)ゴヤ プラド美術館

≪オープニング La Comparas de Gigantes y Cabezudos≫

オープニングセレモニーは、通常大きなお人形の行進から始まります。

このお人形の行列は、お祭り初日の夕方(18時頃から)カジャオ広場→プレシアードス通り →ソル →マヨール通り→ ヴィジャ広場 周辺です。(場所と時間は年によって変わります)

≪Procesión de San Isidro≫

これがこのお祭りのクライマックスでもあり、伝統的な雰囲気を味わう事ができるものです。

これは15日、いよいよ聖人の日に行われるもので、聖人像をのせた山車が、チュラポ/チュラパというこの地方特有のお祭りの衣装を着た人達や音楽隊とともに街をねり歩く行列です。

この行列は通常は15日の夕方(19時頃から)サン・イシドロ教会を出発し→プエルタ・セラーダ→サクラメント→アルムデナ大聖堂→マヨール通り→マヨール広場、そしてまたサン・イシドロ教会へと、大体この周辺をねり歩きます。(場所と時間は年によって多少変わります)

≪Matadero de Madrid~Madrid Rio≫

Matadero de Madridとはかつての街の屠殺場で、現在はその施設を改装し再利用した文化センターのような所です。

ここでは1年を通して様々な活動が行われていますが、サン・イシドロのお祭りでは、有料、無料のコンサート会場と多くの人で賑わいます。

Madrid Rioは、上のゴヤの絵の中に見えているマンサナーレス川のことで、現在この川の両岸は、遊歩道、自転車道が整備され、マドリード市民の新たな憩いの場所になっているところ。MataderoとMadrid Rioは途中つながっています。

Barcex, CC BY-SA 3.0 Wikimedia Commons

その他、レティーロ公園や、デボー神殿オリエンテ広場(王宮前広場)などでもコンサートや花火大会など賑やかです。

伝統的なお菓子

このお祭りの時によく見かけるお菓子は、【ロスキージャ】(スペイン風焼きドーナツ)です。

Tamorlan, CC BY-SA 3.0 Wikimedia Commons

アニスシードやアニス酒、レモンなどが使われていて、オーブンで焼いたものなので、油っこくなく食べやすいお菓子です。

このお菓子の他にサン・イシドロのお祭りで見かけるのが【リモナーダ】(レモネード)

レモネードですが、材料は、白ワイン、シナモンスティック、水、砂糖、レモン これらを混ぜて、カットしたリンゴを入れて冷やしたものです。

アルコールが入っていますが、水でかなり薄めてあって、砂糖と果物入りで、ジュースみたいです。

闘牛

サン・イシドロのお祭り期間中は、約1か月毎日闘牛が開催されます

このシーズンの闘牛のチケットは、闘牛ファンの方々がかなり買い占めてしまうなかなか手に入らないチケットで、とくに売れっ子の闘牛士が来る日は大変盛り上がります。

それでも、ダフ屋からや、旅行代理店ではチケットを入手できる可能性はありますので、トライする価値はあると思います。

まとめ

年にいちどの街の守護聖人のお祭り、サン・イシドロ祭

期間中にマドリードに滞在されることがあったら、ホテルなどでコンサートやパレードの日程を確認して、お祭りに参加してみてくださいね。

以下、記事内に書いた関連の場所を参考までにいくつか地図で表示しています。
(時間と場所、日程は確認要 2021年の開催は、まだ未定のようです)