スペインの食文化 【地中海ダイエット】バルで気軽にタパスを楽しもう!

スペインのバル巡り楽しそう!

タパスってつまみが出てくるんだって~

ピンチョっていうのも試してみたい!

自分たちだけでなんとかなるかな?

と、いう事もあるかもしれないので、バルとタパス、ピンチョについて、ちょっとだけお話します。知らないよりは、知っていた方が、ちょっと心強いかもしれないので・・・

Thomas B. Pixabay
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バルというのは、

スペインでは、バル(BAR)というのがいっぱいあります。

BARっていうと、なんとなくお酒飲むところというイメージが日本ではあるかもしれませんが、スペインのバルは、朝行くと朝食セットがあったりして、夕方行くとおやつがあったり、お酒を飲むだけではありません。

大人だけではなく、子供も親と一緒に出入りして、子供は子供なりにジュースなど頼んで、大人と一緒になって話をしたり、スペインのいちばん身近な、社会生活に必要なことを学ぶ場所かもしれません。(そんなおおげさに考える必要もないけど)

タパス

タパスというのは、日本で言うなら、お通し、突き出し料理の事です。

スペインのバルでは、このタパスがよく無料でサービスされます。

スペインのバルが全てそういう無料のつまみを出してくれるシステムになっているかというと、そうではなく、お店によって違いますし、地方によっても大きく違います。ただ、勝手に(いや、好意で)出してくれたちょっとしたおつまみなのに、意外と美味しい物を出してくれます。

イカリングフライ AkOcKoy Pixabay

初めが肝心なバル

バルに入ると、

1.まず、係と目を合わせる ← これ、超大事です。言葉がわからなくても、オラ~と言いながら、店の人に「ここにいますよ」の合図をしておきます。すぐに気づいて案内をしてくれることもあれば、すぐには相手にしてくれないこともありますが、めげずに、笑顔でオラです。

2.係と目が合ったら、案内してもらう、または様子を見て、どこか場所を探して座る、もしくは、座る場所がなければ、隙間に入り込む。バルは、だいたい入ると中にカウンターがあって、その中で係が忙しそうにビールやワインの準備をしていますので、そのカウンターのまわりのどこかに入り込みます。
(バルに大人数で行く場合は、係が案内してくれるのを待った方がいいです、勝手に隙間に入り込むと、さすがに他の人にも迷惑)

3.場所を確保したら、待つ です。そして、話をしながらも、また係と目を合わせる。係は、ちゃんと順番を覚えてくれています。この辺りは微妙です。しつこすぎず、かといってあまり遠慮していると、あとに来た人が先にサービスされてちょっとくやしい思いをしたりもしますが、それは、地元の常連さんたち(バル歴が違います)そんなこと気にせず、混んでいるバルでも、ちゃんと順番は回ってきます。

サングリアとオリーブ Ruth Archer Pixabay

待っている間、係を見つめるだけではなく、何を頼むのか、決めておきましょう。
バルの飲み物は、ビール、ワイン、水、コーラや、ファンタなど、思いついたものを言ってみたら、だいたいあります。
せっかく順番が回って来た飲み物の注文の段階で、「飲み物は何がありますか?いくらですか?」と、はじまってしまうと、それがお客さんとして正当なのですが、ちょっと嫌がられます。メニューがあらかじめおいてあるようなら、それを見て、そうじゃなければ、「とりあえずビール」は、万国共通です。アルコールが飲みたくなければ、水でも大丈夫です。

4.係が来たら飲み物を注文します。

5.飲み物と一緒に、小皿にのった何かしらのつまみがでてきます。← これが、タパスです。

何が出てくるかは、わかりません。オリーブの実だったり、ポテトチップスの事もあれば、店によっては、パンに生ハムをのせた物だったり、イワシの酢漬けだったり、ポテトサラダだったり、いろいろです。出てこなくても、出てきても、無料のサービスなので、文句は言えません。

オリーブとチーズ yujin LEE Pixabay

タパスが出ない、もしくは、これが食べたいという料理があれば、もちろん有料で注文します。

バルに何人も係の人がいますが、通常は、1人の係が全て(注文から会計まで)担当しています。
注文の追加をする時や、会計を頼む時など、自分の係を覚えておいてその人に言うと話が早いです。他の係に頼むと、無視されるか、忘れられるか、ものすごく時間がかかります。
(なんだか理不尽ですが、スペインのバルはそういうものです)

バルでも役に立ちそうな、簡単なスペイン語の単語→スペイン語の初級、あいさつの言葉からはじめよう!

タパスとピンチョ

タパ(ス)=TAPA(S) スペイン語で タパは、蓋のことです。タパスは、タパの複数形。

”お通し”をタパと呼ぶようになったのは、いろいろ説がありますが、飲み物に、虫がはいらないように、おつまみの小皿をグラスの上において、蓋の代わりにしたから、もしくは、まずいワインを匂いの強い熟成チーズをつまみとして出して、蓋の代わりにグラスの上に置いてサービスしたとか、とにかく、蓋のことです。

小皿でサービスされる料理が本来タパですが、タパでサービスされる料理、例えば、生ハム、小魚のフライ、ポテトサラダなどを、一皿(小皿じゃなく普通の量)ずつ注文して、それを数人で分けて食べるような食事の仕方もタパスと呼んでいます。日本の居酒屋でみんなんで色んな料理をつまむのと同じような感じですね。

例えば4人でタパス形式で食事をするなら、3皿~4皿注文するとちょうどいいくらいの量になります。もっと色んな料理を頼みたいけど、そんなにたくさんは食べられないという時は、1/2皿注文することもできます。(1/2で注文できる物とできない物、もともと1/2皿では注文を受けていない店もあります)

生ハム yujin LEE Pixabay

1皿の時は、UNA RACIÓN DE 〇〇〇 / ウナ ラシオン デ 〇〇〇
1/2皿は、MEDIA RACÓN DE 〇〇〇 / メディア ラシオン デ〇〇〇
例えば、イベリコハム(ハモン イベリコ)だったら、
ウナ ラシオン デ ハモン イベリコ、1/2なら、メディア ラシオン デ ハモン イベリコ
ポルファボール(お願いします)です。

もうひとつ、串で刺してあったり、パンに何かがのせてあるカナッペみたいなものや、手でつまんで食べるようなおつまみがあって、それはピンチョ(ス)= PINCHO(S)と言います。

タラと赤ピーマンのピンチョ baklava Pixabay

タパと同じように、無料のお通しでピンチョが出てくることもあります。

ピンチョは、バスク地方のサンセバスチャンの街が有名です。サンセバスチャンのバル街は、そのピンチョやタパ(小皿料理)のクオリティーが高く、高級レストランで出てくるようなものが、ちょっとずつの量つまめるので、色んな料理が楽しめて人気です。クオリティーの高さが売りでもあるので、サンセバスチャンのピンチョやタパは当然ながら有料です。(ちょっと無料のオリーブとか簡単なおつまみくらいは出してくれます)

(無料の)タパスが充実しているのは、アンダルシア州です。煮込んだお肉料理だったり、小魚のフライだったり、茹でたエビだったり。グラナダやセビリアでは、飲み物を頼んだら、慌てずにタパスを待ってみましょう、結構な量のおいしいおつまみを出してくれることが多いです。(だた、飲み物がコーヒーや紅茶では、おつまみは出ないかも)

飲み物を追加するとまた違うタパスを出してくれます。

マドリードでは、最近おいしい(無料の)タパを出してくれるところが、少なくなってきた感じもしますが、それでも、焼き立てのスペイン風オムレツをちょっと出してくれたり、家ではあまり作らないマドリードの名物料理カージョス(CALLOS=内臓の煮込み)をちょっと出してくれたり、期待してないとオマケもうれしい物です。

奥の方の空いてる席は?

バルやレストランで、入ったらまずカウンターがあって、あと少しだけ簡単なテーブルが回りにあって、でももっと奥の方に、ちゃんとテーブルがセットしてあるワイングラスなども並べてある、そして、そんなに混んでいない場所があります。

人気のあるバルほど混んでいるので、カウンターのまわりはいっぱいで、座れないことがほとんど、どうしよう~と思っていると、お店の人が奥の方にする?って案内してくれますが、奥のテーブルでは、いわゆるタパメニューは頼めません。

肉団子 Roundhere44 Pixabay

入り口のカウンター中心のバルの方とは、メニューが違います。カウンターの方でみんなが食べてたパンにのせてあるスペイン風オムレツが頼みたくても、奥の席のメニューには、たぶんそれはありません。もうちょっとしっかりしたメニュー(ステーキとか、お魚のグリルとか)です。

ただ、このあたりのルールも、最近はお店の方でも臨機応変に対応してくれて、大人数で行く場合などは、奥の席でもタパメニューを頼めることもあります。

スペインのバル、レストランがこういうルールになっているんだという事だけ、参考まで。

いろんな民族が、いろんな食文化を持ち込んだスペイン

ローマ帝国支配下時代はオリーブを、アラブ人支配下の時代には、米、アーモンド、そして、スペイン人は南米から、それまでヨーロッパにはなかった食べ物(トマトやジャガイモなど)を持ち込みました。

タパスやピンチョスのような小皿料理の習慣は、メゼと言って、アラブ文化の国でも一般的なもので、スペインは色んな国の文化が、特にアラブ文化とは長い歴史がある国なので、歴史の中で、スペインと他国の習慣が交わり、それが長い年月をかけて少しずつ、スペイン独自の食習慣になって、根付いてきました。

メゼの例 Unai Guerra, CC BY-SA 2.0 Wikimedia Commons

地中海ダイエット

【地中海ダイエット】と言って、オリーブオイルを多用し、穀物、ドライフルーツ、ナッツ類、魚介類、チーズやヨーグルトなどの乳製品を多く摂取する、地中海沿岸諸国(スペイン、イタリア、ギリシャなど)の食習慣で、いわゆる、生活習慣病と言われる病気の予防に効果があるとされています。もちろん、肉や卵なども程よく食べます。

ダイエットといっても、瘦せるためにダイエット・・・という意味ではなく、食習慣という意味です。ダイエットは、ギリシャ語のDIAITAで、食事、もしくは 生き方 を意味します。

地中海ダイエット(=地中海式食事)は、単なる食習慣というだけでなく、後世に伝えていきたいその地方の文化でもあるという事で、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

まとめ

スペイン風オムレツ flydime, CC BY-SA 2.0 Wikimedia Commons

先にも書いたように、バルは夜だけではありません。朝食はさすがに10時半くらいまでで、その後昼食は13時半とか14時、週末は15時くらいだったりします。

昼食の時間が遅いので、その前に軽くつまむ習慣があって、12時前後にちょっと休憩でバルに行ってみると、意外と美味しい作りたてのつまみを出してくれたりしますよ。

スペインは、歴史や美術館、観光地だけではなくて、食文化で人を集めることができる国、何を食べても美味しいです。

昼でも夜でも、美味しいものいろいろ試して、バルも楽しんでくださいね。