【アルマグロのナスの酢漬け】(ベレンヘナ・デ・アルマグロ)スペインで一番有名なナス

スペイン語でベレンヘナ(Berenjena)は、ナス のことです。

ベレンヘナ・デ・アルマグロは、カスティーリャ・ラ・マンチャ州のアルマグロ地方で生産されるナス。小粒のナスの酢漬けは、さっぱりとしたバルのおつまみの一品です。

Tamorlan, Wikimedia Commons
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アルマグロ地方のナス

アルマグロは、マドリードの南約200㎞にある小さな街です。マドリード州の南にはカステーリャ・ラ・マンチャ州があり、そのカステーリャ・ラ・マンチャ州のシウダーレアル県に、カンポ・デ・カラトラバというかつてカラトラバ騎士団の本拠地が置かれていた地方があり、その中心地であったのがアルマグロです。

写真では大きさがわかりずらいですが、まだ実が小さく青いうち(5~6㎝)に収穫されます。

ナス自体は食べ方はいろいろですが、スペインでアルマグロのナスといったら、丸ごとを酢漬けにしたものをそう呼びます。

保護指定地域表示の【アルマグロのナスの酢漬け】

アルマグロのナスの酢漬けは 1992年にEU(欧州共同体)で創設された品質管理制度の一つ、保護指定地域表示(IGP)で、EU全体で法的に保護されているという、ナスと言えどもただものではないナスなんです。

アルマグロのナスの酢漬けと呼べるのは、
アルマグロを含む他の指定されたいくつかのシウダーレアル県内の自治体で生産されたもので、
傷がついていない綺麗な状態の物で、
調理(10分前後茹でるてその後味つけ)、発酵(4~15日間)、その後 梱包という伝統的な一連の工程のもとに生産され、
味つけには、酢、植物オイル、塩、クミン、パプリカパウダー、にんにく、水を使用、
発酵まで終わったら、同じ場所で梱包されたもの。

IGPのマーク

そして、保護指定地域表示(IGP)のロゴが記載されている事が基準になっています。

ナスの調理や味つけ、発酵、梱包の過程は同じなのですが、実際販売されているのは4種類あって、
●オリジナル(ヘタ付きので酢漬け)、●間に赤ピーマンが挟んである物、●ナスのヘタの部分をとった実だけの酢漬け、●酢漬けを2㎝角くらいに切ったもの

左から、詰め物をしたもの、真ん中 ベレンヘナ・デ・アルマグロ(オリジナル)、右 切った物

ナスはインドが原産で、スペインにはアラブ人たち持ち込み、アンダルシアを通って、カステーリャ・ラ・マンチャとくにアルマグロ一帯のこの地方で根付いたものと言われています。

ナスの栽培だけではなく、酢漬けにして保存するという方法と習慣を持ち込んだのもアラブ人でした。

ナスの酢漬けも、もともとはアンダルシア地方でも有名な料理でしたが、今ではアルマグロのナスの酢漬けは、カステーリャ・ラ・マンチャ州の伝統的郷土料理として有名な物のひとつであり、また、この地方の大きな産業のひとつにもなっています。

アルマグロのナスの酢漬け 作り方

緑色の小粒のナスは、なかなか日本では手に入らないかもしれませんが、参考までにアルマグロのナスの酢漬けのレシピを紹介します。ここでは、ナスに焼ピーマン(瓶詰め)を挟んでみました。
日本の小茄子で作るなら、茹で時間もっと短め(2分くらい?目安はちょっと硬め)

≪材料≫

●アルマグロのナス 1㎏(ナス20個くらい)
●ワインビネガー  500ml
●オリーブオイル  50~75mlくらい(少な目の方が当然さっぱりしている、好みで)
●水        300ml~400mlくらい(うちは水少な目で作ります)
●にんにく     3~4かけ
●クミンパウダー  小さじ 1(好みで、増やしてもいいです)
●パプリカパウダー 小さじ 1(〃)
●塩        小さじ 1(〃)
●焼赤ピーマン   適量(1㎝幅くらいの細切りにしておく)

1.ナスを洗う
2. 実の部分に縦に切り目を入れる
3. ナスを茹で(10分~12分くらい ちょっと硬めに)、茹で上がったら水にさらして熱をとる
4. にんにくを潰して、クミン、パプリカ、塩、ワインビネガー、オリーブオイルを混ぜ合わせる
5. 4に焼赤ピーマンの細切りを入れて味をつける
6. 茹でたナスの水気をしっかりとり、5の赤ピーマンを挟んで、爪楊枝でとめる
7. 4の液に水を少しずつ加え好みの酸味に調節する(400mの水だと多すぎかも)
8. ナスに7の液を加えて、5日~1週間くらい漬け込んだら完成

ナスに切り目を入れる
焼きピーマン(pimiento asado)

焼ピーマンを挟ね楊枝でとめる
漬け込んで5日目

このナスの収穫はだいたい7月の中旬ぐらいから行われます。

調理する前のナスは、市場では1㎏で€1~€1.5(150円~200円くらい)で売っています。毎年この時期にこのナスを見かけると、1㎏くらい買ってきてこうやって酢漬けにして、あとは、ビンに入れて保存しておいて、たまに思い出して食べています。

市場のピクルス屋さん

市場の屋さんにピクルス屋さんにも売ってます。

家では、爪楊枝を使ってナスに焼ピーマンを挟みとめましたが、本来は、ウイキョウの枝を使います。(上の写真の上段左のナスをとめている枝がウイキョウの枝)

スーパーでは、缶詰でも売られています。

まとめ

カステーリャ・ラ・マンチャ州には、他にも有名な食べ物、例えばマンチェゴチーズ(羊のミルクを使ったチーズ)や、スペインで一番のブドウの産地でもあり、美味しいワイン、また世界第2位のサフランの生産国スペインのサフランは同じくこのカステーリャ・ラ・マンチャで生産されています。

いろいろ有名なものがあるこの地方の名物のひとつ、アルマグロのナスの酢漬けも機会があったらぜひ試してみてくださいね。

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