コウノトリを見たことありますか?
スペインにはコウノトリがいっぱいます。
3月から6月はコウノトリの繁殖、子育ての時期です。
コウノトリ、スペイン語では、
コウノトリはスペイン語では、sigüeña シグエニャです。
ü と ñ というスペイン語独特の文字がふたつも入っていて、一瞬読みにくいですね。
コウノトリ
コウノトリは、冬はアフリカに、暖かくなるころにスペインに渡ってきて繁殖、子育てをする渡り鳥です。
(ヨーロッパ、アフリカのコウノトリは正確には【シュバシコウ】という、コウノトリの親戚です。)
冬の間は、アフリカ大陸のサヘルと言われる(地図のオレンジの部分サハラ砂漠の南)地区で生息し、
そこから約2,500㎞の旅をしてスペインにやってきます。
その間サハラ砂漠や、ジブラルタル海峡を越えることになり、食料も十分にはなく、安全に休息できる場所もない中を、体重約3~5㎏の大きな鳥が旅をするのは危険ではありますが、それが長い間の野生の本能なので、危険な旅を毎年往復して、繁殖活動をしていました。
その年に生まれたばかりのコウノトリが海を渡って、砂漠を越えて目的地にたどり着く確率は、約9.5%、2年めで約50%という厳しい旅でした。
スペインでは、”POR SAN BLAS, LA SIGÜEÑA VERÁS” 「サン・ブラスの頃、コウノトリを見かけるでしょう」と言うことわざがあり、サン・ブラスの日が2月3日なので、コウノトリが戻ってくること=少しずつ暖かくなって、”春が近い” という意味、40年から50年前のスペインに、真冬にコウノトリは1羽もいなかったのです。
ところが、この20年ほどのあいだに、そのコウノトリの習性が大きく変わってしまい、
最近は冬でも40,000羽近いコウノトリを確認できるのだそうです。
もともとは、7月~9月頃にアフリカに渡っていたのですが、最近は、ほとんどのコウノトリは、冬もスペインにとどまります。移動をする場合、例えば北スペンんで子育てをしたコウノトリが南スペインあたりまでの移動はしますが、それ以上危険を冒して、海を越え砂漠を超えるようなことは、なくなってきています。
なぜ、長い間の野生の渡り鳥の習性が、急にこの20年位で変わったかというと、地球温暖化 気候の変動が原因のひとつ。
そして、巨大な廃棄物処理場が各地にでき、そこに集まるゴミが、現在のコウノトリたちに年中安定した食料を供給する場所になってしまったため、以前のように、危険な旅をしなくてもいいことを学習し、最終的にはコウノトリの習性が変わってしまったようです。
今でも、渡り鳥としてアフリカに向かうのは、その年に生まれた鳥~3、4歳まで未成年の鳥たちで、渡り鳥としての野生の本能で、アフリカまで行って、また戻ってを何回か経験し、その数年の間に、その必要がないことに気が付き、旅をやめてしまいます。
逆に、アフリカの方から、スペインに移民(移鳥?)して、住み着いてしまう新種の鳥たちもいて、新しい問題になっていく可能性があります。
コウノトリは一夫一婦制
●コウノトリは、一生、一夫一婦制、毎年同じカップルが子育てをします。
●鳥の世界では、オスがきれいな色の羽でメスの気を引いたりしますが、コウノトリはメスもオスも色も大きさも同じです。
●巣は、毎年同じ巣を使い、毎年枝を運んで補強して、少しずつ大きくなり、重さ300~400㎏に及びます。
●卵を産むのはメスですが(3~4歳になると産卵)、卵を温めるところから、エサを与え育てるのは、オスもメスも平等に行います。順番に交代制で、エサを食べに行ったり、卵を温めたりします。
●卵はニワトリの卵よりもう少し大きめの、白い卵を通常3~4個産みます。
●だいたい32日~33日でヒナは生まれます。(4月中旬ごろ)
●他の鳥類のように、卵の殻をつついて割るために、ヒナには上くちばしの角質層からできた小さな突起物で【卵歯】とよばれるものがあります。
●生後しばらくは両親が吐き戻した食べ物をヒナに与えます。
●生後1か月は巣で、2か月目からそろそろ飛行訓練、3か月目に入って生後約70日で巣立ちを迎えます。SAN JUANの日(6月24日)前後が巣立ちの日。
●昆虫や、魚、ザリガニなどを食べます。
●子供の頃は、脚と、くちばしの色が灰色(黒)で、大きくなると赤っぽいオレンジ色になります。
●大きさは、くちばしから尻尾まで1~1.3m、高さは、1m~1.5m、体重は、3~5㎏、翼を広げると約2m。
●世界で一番コウノトリが多く生息しているのは、ポーランド。
●鳴き声は、興奮した時や、外敵が近くにいる時に、くちばしで、音を出します。(パカパカパカパカパカってきこえます。)
コウノトリを見てみたい
コウノトリは、子育てのシーズン中かなりの確率で見ることができるのは、マドリードからバスで約1時間15分、ローマ時代の水道橋や白雪姫のお城のイメージになったお城+子豚の丸焼きで有名な≪セゴビア≫、マドリードから電車で約40分、ドン・キホーテの作者セルバンテスの故郷、世界で初めて大学都市を造った街≪アルカラ・デ・エナーレス≫などです。
≪参照≫スペイン世界遺産 セルバンテスの生まれ故郷『アルカラ・デ・エナーレス』
教会の塔や屋根の上、もしくは木の上、街道沿いの鉄柱の上に大きな巣がいっぱいありあす。
マドリード市内の公園でもたまに見かけることがあります。
空を見上げていて、大きな鶴みたいな鳥がとんでいたら、コウノトリですよ。