フランスとスペインの低コスト高速列車 ウイゴー(OUIGO)と アブロ(AVLO)

(今現在、海外に限らず、国内の旅行もなかなか計画できない状況が続いていますが、いつかスペインを旅する時の、移動の選択肢が増えていますという情報をお知らせします。)

ヨーロッパの鉄道輸送の規制緩和にともなって、スペインでは今春、低コスト高速列車が運行を始めようとしています。

本来ならば今年の3月には本格的に始動予定でしたが、予定は未定のまま。
とりあえず5月からの運行を目指して、もう格安チケットの販売は始まっています。

この先、イタリアからの参入も決まっているようですが、今注目を集めているのは、フランスのウイゴーとスペインのアブロです。

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ヨーロッパの鉄道輸送の規制緩和

ヨーロッパでの鉄道の歴史において、各国独自の技術、システム、運営方針があるため、EU全体としてみた場合、統一性はなく、柔軟性に欠けていて、効率が悪く、鉄道輸送を他の輸送機関と比べた時に、十分な競争力があるとはいえない環境でした。

そのことは、鉄道輸送市場への民間企業の投資を遠ざける結果にもなっていました。

その為1991年にEU委員会で、鉄道部門におけるEU共通の政策に関する立法がおこなわれました。
その一環で、EU加盟国内での、鉄道市場の特定の分野での競争の自由化が課されました。

簡単に言うと、ヨーロッパの鉄道システムをまとめて、飛行機や、トラック、バス、自家用車に負けない人と物の輸送システムを強化しましょう。運行にあたっては、自由競争で、サービスを競いあってくださいという事です。

今回、フランスの鉄道サービスがスペインに参入することになり、運行が決まったのが、低コスト高速列車ウイゴーです。

それを受けてスペインでも、スペイン国鉄RENFEが負けてはいられないとばかりに、アブロ(AVLO)の運行を発表しました。

どちらも低コスト高速列車ですが、ちょっと比べてみたいと思います。

ウイゴー(OUIGO)とは

ウイゴーは、フランスで2013年から運行している、ローコスト高速列車、

フランス国鉄(SNCF)が運行している高速列車(TGV)の、格安版のサービスとその列車名がウイゴー(OUIGO)です。

名前は、英語の HERE WE GOからで、
”始まるよ”とか”さぁ行こう”といった意味の言葉をフランス語の”OUI”(はい)とかけたもの。

≪ウイゴー≫ Kabelleger / David Gubler, CC BY-SA 4.0 Wikimedia Commons

スペインにフランスの高速列車ウイゴー(OUIGO)が参入することは、2019年11月に決まりましたが、ついに本格的に運行が始まるようです。

5月10日以降のチケットの販売がすでに始まっています。

ウイゴーは車両が2階建てになっていて、約500人が乗車可能です。5月10日から運行予定で、マドリード~バルセロナ(サラゴサ、タラゴナ停車の便もあります)。現在オンラインで販売されているチケット料金は、片道 €19(5~8月運行分)、9月以降のチケットは、片道 €9となっています。(14歳までの子供は€5)

路線は、今後、バレンシア、セビリアなどにも広がる予定です。

この基本料金に含まれるものは、座席と既定のサイズの荷持つ2個。(36cmx27cmx15cmサイズx1個、55cmx35cmx25cmサイズX1個)

OUIGO PLUS(€9追加料金) というサービスをチケット購入の際追加しておくと、スーツケースサイズの大きな荷物(縦横高さ合計2m,30kg以内)が持ち込み可となり、2階席、ちょっと広い席を優先的に選ぶことができます(席があいていれば)。また、映画やゲームといった娯楽サービスも含まれます。

OUIGO FLEX(€7追加料金)というサービスを追加しておくと、出発30分前までなら、出発日と時間を変更することができます。

OUIGO PLUS, OUIGO FLEXのサービスの追加は、チケット購入時のみ可能。

列車内にカフェテリアのサービスもあります。

チケットは、すべてオンライン販売です。

アブロ(AVLO)とは

アブロは、スペイン国鉄が運行しているアベ(AVE)の、格安版サービスとその列車名がアブロ(AVLO)です。

ALTA VELOCIDAD LOW COST ALTA VELOCIDAD=高速  +LOW COST

2019年11月にアブロ運行を発表、現在のところ6月23日から運行予定です。

≪AVE SERIE112≫****** AVLOはこのシリーズの列車が使われ、色は紫色になります******
Adbar, CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

アブロの車両には、スペインの通常の高速列車AVEのシリーズ112車両が使われます。上の写真はAVEですが、この車両の色が紫色なのが、アブロです。

全てツーリストクラス(普通席)で、カフェテリア車両はありません。

料金は、マドリード~バルセロナ間(6~7月運行分)で、時間帯によって多少上下しますが、片道€29~€45、14歳までの子供は€5(停車駅が、グアダラハラ、カラタユ、サラゴサ、レリダ、タラゴナという便もあります)

(※ウイゴーもアブロもここに記載した料金は2021年2月22日現在のもの、購入する時期によっても値段は変わります)

荷物に関しては、36cmx27cmx25cm x1個、 55cmx35cmx25cmx1個までは無料 85cmx60cmx35cmの大きさの物は追加料金 €10
出発日、時間の変更、キャンセルは 追加料金 €8
座席を選びたい場合は、追加料金 €8
これらのサービスの追加は、チケット購入時のみ可能です。

車内には、WIFI、映画や音楽のサービスがあり無料です。

チケットは、オンラインと、駅のチケット売り場、券売機、電話、旅行代理店でも販売します。

まとめ

まだ、これから運行が始まるので、この先もう少し詳しい情報をお伝えできると思いますが、ウイゴーとアブロ、料金だけをみると、今のところウイゴーの方が優勢といった感じです。

ただし、ウイゴーのこの低料金を成立させるために、ほとんどの手続きがオンラインだけなのに対して、アブロは緊急時の対応などは、スペイン国鉄RENFEのサービスセンターが窓口になるようなので、ちょっと安心感が増す感じです。

ウイゴーとアブロ以外にも、イタリア国鉄の列車運行業務を引き継いだ、民営鉄道会社トレ二タリア(TRENITALIA)も2019年にウイゴーと共に、スペインでの運行する事が決まっているようです。

マドリード 

マドリード~バルセロナは高速列車で約2時間45分。スペインの列車は、時間にルーズなのでは?と思われがちですが、かなり正確に運行していて、とても便利で快適です。今まではスペイン国鉄の高速列車AVEの独占市場でしたが、これからサービス、価格で競争が始まることが想定されるので、利用者側には選択肢が増えてお得ですね。

バルセロナ

マドリード~バルセロナ以外の路線での運行も予定されているので、ますます楽しみです。

あとは、安心して旅に出かけられる日が、早く戻って来る日を待つばかりです。