スペイン語と英語と日本語の名前表記の違い
イエス・キリストの(仮の)お父さんの名前を知っていますか?
キリスト教に関係がない人でも、イエス・キリストは、マリアの子で、お父さんは神様だけど、育てのお父さんは、ヨセフというのを聞いたことがあると思います。
ここに出てくる名前を、英語で言うと、ジーザス・クライストは、マリーの子で、育てのお父さんは、ジョセフですとなり、これをスペイン語では、
ヘスースはマリアの子で、育てのお父さんは、ホセです となってしまいます。
このように、同じようで言語によって、名前の表記が随分変わってしまいます。
日本語で表記する際、統一されず、ごちゃ混ぜになっていることもあります。
例えば、ローマ法王、ヨハネ・パウロ2世は、スペインではホワン・パブロ2世なのです。
今回は、キリスト教の歴史の中でよく出てくる聖人達の名前、国王の名前など、いろんな表記になっていて、混乱してしまうので、日本語・英語・スペイン語の一覧表を作ってみました。
日本語 | 英語 | スペイン語 |
イエス | Jesus | Jesús ヘスース |
マリア | Mary | Maria マリア |
ヨセフ | Joseph | José ホセ |
ペトロ | Peter | Pedro ペドロ |
大ヤコブ (ゼベダイの子) | James the great | Santiagoサンティアゴ el mayor |
小ヤコブ | James the less | Santiago el menor |
ヨハネ | John | Juan ホワン |
アンデレ | Andrew | Andrés アンドレス |
バルトロマイ | Bartholomew | Bartolomé バルトロメ |
イスカリオテの ユダ(裏切り者) | Judas Iscariot | Judas フダス Iscariote |
ユダ・タダイ | Jude Tadeo | Judas フダス Tadeo |
マタイ | Matthew | Mateo マテオ |
フィリポ | Philip | Felipe フェリペ |
シモン | Simon | Simón シモン |
トマス | Thomas | Tomás トマス |
ゲオルギオス | George | Jorge ホルヘ |
マルコ | Mark | Marcos マルコス |
チャールズまたは カール | Charles | Carlos カルロス |
ウィリアム | William | Guillermo ギジェルモ |
ヘンリーまたは ハリー | Henrry | Enrique エンリケ |
こんな風に、似ているのもありますが、青字にした名前は、一瞬???となってしまうほど、同じ名前でも違っているのです。
スペインの18世紀の王様でカルロス3世、歴史の案内など読んでいて、カルロス3世と書いてあったり、チャールズ3世と書いてあったり、
ドラゴンを退治したことで有名な聖ゲオルギオスは、セント・ジョージと書いてあったり、サン・ホルヘと書いてあったり、これが、スペイン・カタルーニャ州だとサン・ジョルディだったり、同じ聖人なのにこんなに違った名前で表現されます。
イギリスの王室、ウィリアム王子とヘンリー王子が、ギジェルモ王子とエンリケ王子と言われても、さっぱり誰だかピンときませんね。
ギジェルモ・・・!?
ここに、イタリア語やフランス語、ドイツ語と増えてくると益々混乱してしまいます。
スペイン人の呼び名
こちらは、スペインの名前の独特の呼び名の変化ですが、
スペイン人男性で、ぺぺと呼ばれる人がいます。でも、ぺぺの本当の名前は、ホセです。
パコと呼ばれる人もいますが、パコの本当の名前は、フランシスコです。
なんでーーー?
これは、名前の短縮形ではあるのですが、
例えばホセをぺぺと呼ぶのは、イエスの仮のお父さんはスペインではホセ、お父さんのことをラテン語でPATERと言います。ホセは、ヘスース(=イエス)の推定上の(仮の)お父さん。それをラテン語では、
PATER PUTATIVUS=推定上の父親=ホセ、その頭文字2つで、PP。
スペイン語ではP(ピー)は、ぺェ。ということで、Pが2つPPで、ぺぺとよばれます。
フランシスコをパコと呼ぶのも、似たような理由です。
イタリアの聖人で、13世紀にフランシスコ修道会を創立した、フラシスコ・デ・アッシジは、
PATER COMUNITATIS=信仰共同体(フランシスコ会)の父とよばれていました。
それで、フランシスコは、PACO パコです。
ちなみに、スペイン語の名前は、FRANCISCO(フランシスコ)は男性、 FRANCISCA(フランシスカ)は女性で、最後がO か A の違いで男女使い分けることができる名前がたくさんあります。
フランシスコがパコ(PACO)なので、フランシスカは、パカ(PACA)です。
はじめて、自己紹介の時、「私はパカよ」と言われた時は、ちょっと驚きました。
パカって、それ名前なの?
本当に本当にパカ?
その他にも、
Jesús(ヘスース) → Chucho(チュチョ)
Manuel(マヌエル)→ Manu(マヌ)もしくは、 Lolo(ロロ)、女性だったらLola ローラさん。
Carmen(カルメン)→ Cuca(クカ)
Pilar(ピラール)→ Pili(ピリ)
Rosario(ロサリオ)→ Charo(チャロ)
他にもいろいろあります。
スペイン人は、名前を2つ持っている人がかなり多く、例えば、
Maria Teresa(マリア テレサ)→ Maite(マイテ)
Luís Miguel(ルイス ミゲル)→ Luismi(ルイスミ)
など、名前を合体した呼び方もあります。
他にも、王様の表記で、同じ王様であっても、いくつもの国を支配していた王様は、
例えばスペインのカルロス1世は、神聖ローマ帝国では、カール5世、同一人物でも、どこの国から見るかによって、表記が変わってしまうこともあります。
混乱することがあるので、ちょっとまとめた、名前雑学でした。