スペインのクリスマス事情 クリスマスは異様に長い!

毎年12月に入ると一斉にクリスマスのイルミネーションが、どこの街でも始まります。
24日、25日そして26日も27日も28日も・・・延々とクリスマス、なんと年が明けてもクリスマス一色のスペイン。一体いつまで・・・?

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クリスマス

スペイン語でクリスマスの事を、

スペインでは、クリスマスの事を、
ナビダーと言います。
スペイン語でNAVIDAD 、ラテン語でNATIVITAS『 (イエスの)誕生』を意味する言葉です。誕生のことは、スペイン語でNACIMIENTO。女性の名前でNATALIA(ナタリア)というのありますが、NATALIA→natalis dies(ラテン語)= día de nacimiento(スペイン語)= (イエスの)誕生の日という意味。
NATALIATという女性がいたら、99%の確率で、誕生日は、12月25日+その前後です。

Natalia
Natalia

ナタリアは親しみを込めて
ナティーと呼ばれま~す

クリスマスソングは、

スペイン語で、クリスマスソングは、ビジャンシーコ♫VILLANCICO

レノ
レノ

ナビダーとか、ビジャンシーコとか、なんかすごい発音の言葉が
スペイン語にはいっぱい。今一歩ロマンチックな感じがしないよね、
ビジャンシーコ・・・


スペイン語の VILLA(ビージャ) は、村とか、集落の事で、もともとは、村人(VILLANOS)たちが歌っていた歌の事。初めは歌のテーマはなんでもよくて、身の回りの出来事などをお祭りの時に歌ったりしていたようですが、15世紀くらいから、テーマが宗教に関することになり、最終的にその中でもクリスマスにかかわることがテーマの歌になっていきました。

クリスマスツリー

クリスマスツリーも飾る家庭もありますが、
スペインのクリスマスの飾りは、
ベレン(BELÉN)。

イエスが生まれたベツレヘムの村の様子をお人形セットで再現したのも。


馬小屋のシーンのお人形セット、まずはこのくらいの数から始め、

祝福に駆け付けた羊飼いとか動物が増えて、

最後には、村全体を再現。

そのうち、本物の水を流して川ができたりして、どんどんエスカレートします。
毎年少しずつお人形の数を増やして、子供たちとベレンを作るのは、このシーズンの楽しみの様です。

ベレンの習慣が始まったのはイタリアで、1223年、アッシジの聖人フランシスコが、聖書を読めない村人達に、なんでクリスマスを祝っているのかをちゃんと理解してもらうために、人形ではなく、本物の人間、動物を使って、ベレンを再現したものだったそうです。


ベレンは、スペインでは、18世紀の国王カルロス3世がイタリアから持ち込んだ習慣です。
カルロス3世は、スペインの国王になる前は、イタリア ナポリ・シチリアの王様でした。スペイン国王になった後、息子のカルロス4世がまだ子供の頃(1760年)ナポリから取り寄せて飾り、それが習慣となっていきました。

今でもナポリから取り寄せた ベレンのオリジナルの飾りも いくつも残っていて、毎年マドリードの王宮に飾られ、一般公開されます。

カガネ

バルセロナがあるカタルーニャ州では、カガネ(CAGANERカガネルですが、ルは発音しない)という変わったお人形があり、これがカガネ。

これが、ベレンの飾りの、木の陰とかにコッソリ置いてあるんです。

うちにもあった~!
何してるかは、聞かないように。

カガネは、昔は村人姿が多かったようですが、最近は、その年の話題の人とか、サッカー選手とか、いろんなパターンがあります。

Caganercom, CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

宝くじ

スペインのクリスマスの風物詩で忘れてはいけないのが、
クリスマス宝くじ

年中、色んな宝くじがあるのですが、普段宝くじを買わない人も、このクリスマスの宝くじは買うという人が多いスペイン、日本の年末ジャンボみたいな感じですね。

日本と違うのは、この宝くじ、同じ番号の物が何枚も買えるのです。
だからたくさん同じ番号のくじを買って、家族や、お世話になった人へ、お歳暮の代わりに贈ります。
当たった時は、家族みんなで、お世話になった人も、み~んな一緒に当たるんです♪

大体の場合、みんないつもの近所の宝くじやさんで買う事が多く、同じ番号がたくさんあるわけですから、その同じ宝くじ屋さんで買った近所の人達も当たってる可能性が高いです。
どこの宝くじ屋さんで 当たりの番号の宝くじを売ったかも すぐにわかるので、抽選会の後は、すぐにテレビの中継です。

その時に、「ああああ、なんで いつものところで買わなかったんだろーー!!」とならないように、並んででもいつものところで買います。

この宝くじも、ベレンと同じく、18世紀の国王カルロス3世が、イタリアから持ってきた習慣です。
スペイン史上、一番素晴らしい市長だったという表現で呼ばれるカルロス3世は、国の財政を補強するのに税金を上げる代わりにこの宝くじの販売を導入しました。

カルロス3世

第1回目の抽選会は、1763年12月10日、サン・イルデフォンソという学校の7歳の男の子が、その大役を務めました。それから250年以上、抽選の番号を読み上げるその大役は毎年同じサン・イルデフォンソの子供たちです。子供たちが番号を読み上げる声を聞くと、「今年も終わりだな~」と思います。

≪今年のクリスマスの宝くじ≫
使用されている絵が、プラド美術館のボスの絵だわ

12月24日、(31日も)

この日の夜が、家族そろっての夕食です。
この夜ばかりは、(あ、あと12月31日も)家族がいる人は、絶対 家族で夕食です。(家族も 親しい人もいない方もいるし、そして、1人で気楽な方がいいという人も実際たくさんいますが、この絶対感はすごいです)

最近はさすがに、タクシーは見かけますが、24日、21時以降 0時くらいまで、公共交通機関も閉まってしまいます。ホテルを除く街中のレストラン、バルなどもその間閉まります。みんな家で食事をしたいのです。ホテルのレストランもあらかじめ予約をしておかないと、急に行っても席はありません。

日本から旅行で、ヨーロッパのクリスマスはきっと賑やかで素敵なんだろうと、24日の夜に日本から到着する方、公共機関閉まりますから、気を付けてくださいね。そして、夕食、ないかも・・・。

スペインの伝統的なご馳走は、子羊、もしくは子豚です。12月24日と、31日、このどちらかがメインの事が多いようです。

そして、なぜか、茹でエビ、これも必ず並んでます。

クリスマスケーキは食べません。


スペインでこの時期かならず用意してあるお菓子は、トゥロン(TURRÓN)とマサパン(MAZAPAN)。どちらもアーモンドを使ったお菓子で、いろんな種類のものを用意して、少しずつ食べています。

年越しはぶどう12粒

31日も同じく、家族で夕食です。ちょっとメンバーチェンジで、24日に実家の両親と夕食だったら、25日はお嫁さんのうちの両親とです。

スペインの年越しには、ぶどうを食べます。
ぶどうを12粒づつ用意しておいて、カウントダウンの鐘が12回なる間に、1粒づつぶどうを食べて、年越しです。

これは、宗教的なものではなく、たまたま20世紀のはじめ頃、その年はぶどうが豊作で、12月になってもぶどうがたくさんあって、その消費のために、”ぶどうを食べながら年越しをしたら、来年は幸せで健康な1年を過ごせます”と、ぶどうをアピールしました。それがみんな楽しかったのか、それから毎年ぶどうを食べて年越しです。

マドリードの中心地、プエルタ・デル・ソルのマドリード州政府庁の建物が時計台になっていて、年越しの鐘がテレビで中継されるので、多くのスペイン人はその鐘をききながら、口の中ぶどうでいっぱいになりながら年を越します。

余談ですが、年末の大掃除?

そんな習慣はスペインにはありません。

日本では、大晦日にその年の埃を落として
新年を迎えるんだよ

へ~
せっかく休みなのに掃除なんて、
かわってるね~
(と、スペイン人に言われました)

クリスマスプレゼントは?

うっかり、クリスマスプレゼントの前に、年を越してしまいましたが、スペインでは、まだクリスマスプレゼントは届いていません。

プレゼントは、1月6日に届きます。

まじ?!

 サンタクロースじゃなくて、東方の三賢者が届けてくれます。

イエスが生まれた時、ユダヤの王様ヘロデ王は、神の子に王の地位を奪われるのではないかと心配します。東方で、星を見た偉い博士(東方の三賢者)が、ヘロデ王のもとへ行き、「ユダヤの王として生まれた方はどこですか?」と尋ね、ヘロデ王がまわりの学者や、司祭に聞くと、「ベツレヘムです」と答えました。三賢者は、星に導かれながら、ベツレヘムへ向かい、そこで幼子のイエスに対面したのが1月6日、乳香と没薬と金を贈り物として届けました。
ヘロデ王は、生まれた子供の居場所を知らせるように命令していましたが、三賢者は、ヘロデ王のもとへは戻らず、自分たちの国へと帰っていきました。

という、新約聖書のお話から、カトリックのスペインでは、今でもこの伝統が続いています。

先程紹介した、ベレンの中にもこの三賢者は登場します。
そして、今年のクリスマスの宝くじのボスの絵、よく見ると、イエスとマリアの前に3人、この3人が贈り物を届けにやって来た東方の三賢者です。

1月5日の夕刻、東方の三賢者のパレードが行われます。子供も大人も毎年街の中で行われるパレードを楽しみにしています。

伝統的には三賢者ですが、今は、サンタクロースも三賢者も、どちらもやって来るお家もあるみたいです。

そして、1月6日 ロスコン・デ・レイジェス(スペインのクリスマスのケーキ)

プレゼントも届いて、だいたいクリスマスの一連の行事が終わります。

スペインでは、1月は祝日は1日だけで、だいたい2日から通常営業に戻ります。
子供たちの休みは、6日までです。

スペインのお店では、商品交換チケットを、頼むと出してくれます。
普通だと、レシートを持って行けば、商品の交換ができるのは日本でも同じだと思いますが、この国の交換チケットは、レシートではないので、金額は表示されていません。

最終的には、そのお店に行けば、それがいくらの商品かわかってしまいますが、せっかくプレゼントしてくれた人に、「レシートちょうだい」とは言いにくいし、贈る側でも「気に入らなければ、好きなのに変えていいからね」の気持ちで、あらかじめ金額がわからないチケットを一緒に入れておきます。これはすごく便利なシステムですね。

そして最後は、ケーキ、
ロスコン・デ・レイジェスです。


日本のケーキに比べると、もっと素朴なケーキで、中にオマケが1個入っています。
サクっと切り分けて、食べてると中に何か固い物が(サンタさんとかトナカイさんとか)入っていて、当たるとちょっとうれしいです。

1月7日から、さっそく冬のバーゲンがはじまりますので、翌日からのバーゲンの作戦会議などをして、これでやっとクリスマスが終わります。

街の中のライトアップは、7日から撤去作業ですが、サッと1日で終わることもないので、その後も、もうしばらくは、クリスマスツリーなどが街中に・・

まとめ

こんな感じで 毎年スペインでは、クリスマスの時期を過ごしています。

家族が集まって食べて、飲んで、食べて、飲んで。
今年は、家族が集まるのが難しい状況ですが、せめて 健康に新しい年を迎えられるといいですね。