マドリードの天使たち(彫刻)

Foto-Pee

天使たちといっても、片方は堕天使、そしてもう片方は、うっかり者の天使。
堕天使は、見れば見るほど素晴らしい、個人的に大好きな作品です。そしてうっかり者の天使は、ちょっと笑える・・・現地の人も見落とす穴場なので、こっそりご紹介します。

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堕天使って何?(Angel Caido)

【堕天使】ちょっぴり うんちく。

【堕天使】ルシファーともいいます。もともとは神様の特にお気に入りの天使のひとりで、天使の中でもリーダーでした。けれど、あまりにも高慢で嫉妬深く、仲間を集めて神様に反旗をひるがえしたのです。ということで、自分の意志で堕落して、神様の怒りをかい、天界から追放された天使の事です

神様
神様

何様のつもり?
追放じゃ~!!

ル

俺様だぜ!!

カトリックの世界では、堕天使は悪魔、その悪魔の長がルシファー。
ルシファーは、ラテン語で、「光を放つ物」という意味があり、明けの明星 “金星 ” の事でもあって、それほどの輝きの星(ルシファー)が天界から追放されて消えていくことを嘆いてつけた呼び名がルシファーでし
た。

作者は、スペイン人彫刻家リカルド・ベルバー、ジョン・ミルトンの失楽園からの発想で1877年に制作され、スペイン国立美術展で授賞、翌年1878年のパリ万博にも出展されたものです。

彫刻自体は約2.5m、天界から追放された、恐怖と怒りと屈辱の表情が印象的で、失楽園の中に出てくる、人をだます知恵と、神への反逆精神の象徴的存在である蛇が、足と腕に絡みついて、身動きができない状態になっています。

下の台座は、違う作者の物ですが、高さ7m、下の方に8体の悪魔の姿をした彫刻が口から水を吐き出しています。(トカゲと蛇と魚?の合体したものらしいです)

天使の彫刻は、それこそ星の数ほどありますが、この堕天使に関しては、ヨーロッパにはたった2体しかありません。一つはイタリアに、そしてもう一つがマドリードのレティーロ公園内に設置されているものです。

レティーロ公園の現在の場所に設置されたのは、1885年から。
この場所は、スペイン王家の焼き物 ”ブエン・レティーロ “の工場があった場所でした。



ちなみに、マドリードの標高は約650mなのですが、この堕天使像の場所が、標高666m(666は、不吉な数字)というのが、マドリード都市伝説。
かつて、この像のまわりで、夜な夜な怪しげなグループが、怪しげな儀式を行っていたとか、いないとか。そのせいかどうか、レティーロ公園は、夜は立ち入り禁止になりました。

Accidente Aéreo 航空事故

こちらは、作品名 “航空事故 ”

ミゲル・アンヘル・ルイス・ベアトの作品で、2005年突然空から落ちてきた天使。
先ほどの堕天使は全く関係なく、こちらは、うっかり者の天使。重さ300㎏。
作者自身の創作神話だそうで、

10,000年くらい前、空を飛んでお散歩に行くのが大好きな天使が、いつものように気持ちよくお散歩に行って帰って来るところでした。いつも降りる場所につく前に、遠くの山並みでも眺めていたのか、その日は後ろ向きに飛んで来ました。そしたら、なんと! 草原だったところに街ができて、建物がたっていました。そのことに気付かなかったのん気な天使は、建物に頭から突っ込んで、こんな事になってしまいました・・・とさ。

落ちちゃった・・・

作者に言わせると、「時間っていうのは、言葉の中だけの概念かもしれない、もしかしたら、ちょっとパン買ってくるって1000年位かかることだって、ないとは言えないよ」だそうです。

この作品がある場所は、マドリードの旧市街地マヨール広場の横にある、サン・ミゲル市場のすぐ近く、ミラネセス通り(ミラノ人通り)3番地 の建物のです。ミラネセス通りは、ミラノから来た職人さん達が、マドリードで初めて懐中時計の商売を始めた通りです。

人気のサン・ミゲル市場で美味しいピンチョスとビールの後 、表に出たらマヨール通りを渡ったところがミラネセス通りです。建物の上の方、探してみてくださいね。